
2025年に突入し、個人開発者でも**大規模言語モデル(LLM)**をローカルで扱える環境が現実のものとなってきました。その中でも、NVIDIA RTX5090は現時点で最強クラスのコンシューマ向けGPUとして注目を集めています。
本記事では、実際にRTX5090を使って構築したハイスペック自作PCによるAI開発環境の構成と、その活用事例、構築時の注意点を詳しく紹介します。AI開発や自動化に取り組むエンジニアの方はもちろん、「ブログ自動化」に関心のあるブロガーにも役立つ内容です。
なぜ今RTX5090を選ぶのか?
RTX4090との性能差と進化ポイント
RTX5090は、前世代のRTX4090に比べて以下の点で大きく進化しています:
- CUDAコア数が20%増加
- VRAMは24GB GDDR7へ強化
- 第5世代Tensorコアによる推論速度の高速化
- PCIe 5.0対応でデータ転送効率アップ
特にVRAMの帯域幅と低消費電力化はAIモデルを運用する上で極めて重要なファクターです。Stable DiffusionやQwenなどのGPUメモリ依存型LLMを快適に扱えるのはRTX5090の大きなアドバンテージです。
コストパフォーマンスと将来性
価格は約40万円前後(2025年現在)と高額ではありますが、ワークステーションクラスのRTX6000と比較すると半額以下で性能は8割超。また、後述するように収益化に直結する自動化運用が可能になることで、十分元を取れる可能性が見込めます。
実際の構成とパーツ紹介
今回の構成では、以下のようなパーツを選定しました。
パーツ | モデル・内容 |
---|---|
CPU | AMD RYZEN 9 9950X |
GPU | NVIDIA RTX5090 |
メモリ | DDR5-4800 192GB(32GB×6) |
マザーボード | AMSI MPG X870E EDGE TI WIFI |
ストレージ | NVMe Gen4 SSD 8TB(4TB+4TB) + HDD 56TB(8TB+24TB+24TB) |
冷却 | Noctua NH-D15 G2(空冷) |
電源 | HX1500i CP-9020261-JP(ATX3.0対応) |
OS | Windows 11 Pro + WSL2(Ubuntu 22.04) |
空冷の限界に挑戦する構成ではありますが、冷却性・静音性ともに非常に安定しており、重いAI推論作業でも90℃を超えることはありません。
WSLとPyTorch環境の構築と注意点
CUDA Extensionが未対応な現状
Windows上のPyTorchは未だCUDA Extensionのコンパイルに制限があり、特定のLLM推論ツール(exllamaなど)ではうまく動作しないことがあります。
暫定対応策としてWSL2を利用
そのため、WSL2(Ubuntu)上にPyTorchとCUDA環境を整えることでほとんどのLLM推論環境に対応可能になります。注意点としては以下のとおりです。
- WSL用NVIDIAドライバの最新化(v555以降を推奨)
- CUDA ToolkitとcuDNNはWSL向けに再構築が必要
- GPU DirectストレージはWSLでは未対応(多少のI/Oボトルネック)
重量級LLMモデルはどこまで動く?
Qwen2.5-32B-Instruct(GPTQ)を実行
実際に32Bクラスのモデル「Qwen2.5-32B-Instruct」をGPTQ圧縮形式で実行したところ、VRAM使用量は22GB前後、推論速度は4~5token/sec程度を維持できました。
- 消費メモリ:約91~95%(VRAM24GB)
- GPU温度:フルロードで最大83℃
- CPU使用率:35~50%(スレッド並列処理)
この規模のモデルをローカル単機で回せるのは、現状ではRTX5090クラス以上のGPUに限られると言えるでしょう。
結局、RTX5090でどこまでできるのか?
ブログ自動化やAI秘書運用への応用
- ChatGPTクラスのLLMによる自動ブログ記事生成
- OCR連携によるタスク処理AI秘書
- Whisper×LLMで動画→自動記事化などの仕組みが安定稼働
このような用途をローカル完結で自動運用できるのが最大の魅力です。
ワークステーションクラスGPUとの比較
GPU | VRAM | 推論速度 | 価格帯 |
---|---|---|---|
RTX5090 | 24GB | ◎ | 約40万円 |
RTX6000 Blackwell | 48GB | ◎(より高速) | 約100万円 |
RTX4090 | 24GB | ○ | 約28万円 |
ワークステーションクラスは更に余裕がありますが、価格差を考慮するとRTX5090が最もバランスが取れた選択肢と言えるでしょう。
まとめ:RTX5090は“収益化マシン”になり得る
- RTX5090は個人でも実用的なLLM推論マシンを構築できる最上位GPU
- 高価ではあるが、自動化・収益化を目指す開発者にとっては十分に投資対効果が高い
- 構築にはやや専門知識が必要だが、情報は整っており、再現性も高い
自作PCでここまでのAI開発環境が手に入る時代。RTX5090は“収益化マシン”として実力十分の存在です。