
2025年、私はAI画像生成の世界に飛び込む決意をした。
目的はただ一つ。「最高の自作PCで、AIによるフェイススワップを完璧に再現したい」。
その相棒として選んだのが、NVIDIA GeForce RTX5090を搭載したモンスターマシンだ。Ryzen 9 9950Xとの組み合わせは、まさにF1カー。だが…そのF1カーは、いきなりエンジンがかからなかった。
フェーズ1:「ファイルが見つからない」スタートラインすら立てない
最初に取り組んだのは、FaceFusionのリポジトリをgit clone
して、PowerShellからpython run.py
を叩くこと。
でも返ってきたのは無慈悲なメッセージ:
bashコピーする編集するpython: can't open file 'run.py': [Errno 2] No such file or directory
「え?ファイルがない?」
そう。公式リポジトリでrun.py
はすでに廃止されていたのだ。代わりに使うべきはfacefusion.py
。
さらに混乱を招いたのが、gitコマンドが認識されなかったこと。実はGitはインストール済みだったが、環境変数Pathに登録されていなかった。
🔧 解決策:
- 実行ファイルを
python facefusion.py
に変更 C:\Program Files\Git\cmd
をPathに追加 → PC再起動
フェーズ2:FFmpegがいない!動画が処理できない
エラーは続く。
bashコピーする編集する[FACEFUSION.CORE] FFmpeg is not installed
これはまさに「カメラはあるけど、録画ボタンがない」状態。FaceFusionは動画変換にFFmpegを使っているのだが、私のPCにはインストールされていなかった。
🔧 解決策:
- FFmpeg公式サイトからZip版をDL
ffmpeg\bin
を環境変数Pathに追加 → PC再起動
フェーズ3:GPUが使えない!? CUDAが見えない
Web UIは起動。しかし、「実行プロバイダー」にはCPUしか表示されない。GPUのはずなのに!
調査の結果、以下の問題が判明:
- PyTorchがCUDA未対応版だった
- ONNX RuntimeがGPUを使う設定になっていなかった
これは、「エンジンは積んでるのにアクセルがつながってない」状態。
🔧 解決策:
- 仮想環境で以下を実行: bashコピーする編集する
pip install torch torchvision torchaudio --index-url https://download.pytorch.org/whl/cu121
- FaceFusionの設定画面で
EXECUTION PROVIDERS
をcpu
→cuda
に変更
フェーズ4:最大の敵、cuDNNバージョン不一致
ようやくGPUが見えてきた…と思ったそのとき。再び暗雲。
処理を開始すると、CPU使用率が100%、GPUは沈黙。ログをよく読むと、次のようなメッセージが連続で出ていた。
bashコピーする編集するError loading ... depends on cudnn64_9.dll which is missing
これはつまり、「onnxruntimeがcuDNN v9を要求しているのに、システムにはv8しか入っていない」ということ。しかも、エラーのせいで処理が自動的にCPUにフォールバックされていた。
🔧 解決策:
- NVIDIA cuDNNの公式ページからv9のZip版をDL
- CUDA Toolkitのインストール先(例:
C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v12.8
)に上書きコピーbin
include
lib
- PCを再起動
※注意:cuDNNのページは.exeと.zipが並んでいてダウンロードの選別がややこしい。Zip版を選ぶこと。
フェーズ5:ようやく“爆走”開始。GPUの本領発揮
再起動後、FaceFusionを再実行したところ…タスクマネージャーのGPUグラフが急上昇!
処理速度も驚異的だった。
処理モード | 速度(fps) |
---|---|
CPU(Ryzen 9) | 約 2.7 frame/s |
GPU(RTX 5090) | 約 26.2 frame/s |
なんと約9.5倍の高速化を実現。これが、RTX5090の実力だ。
まとめ:ログは嘘をつかない。初心者でも突破できる
今回のFaceFusion構築で得た教訓はシンプルです。
- ログを読もう。エラーの中に全ての答えがある
- バージョン整合性が最も重要
- 環境変数と再起動を軽視しない
初心者であっても、こうして一つひとつの壁を越えれば、F1カー(高性能マシン)を自分の手で走らせることができる。
「自分には無理かも…」と思ったとき、この記録があなたの背中をそっと押す存在になれれば幸いです。